鉄道調査で使える測定器
1日も欠かすことなく乗客の安全を確保しなければならない鉄道は、保守点検がとても重要です。安全確保のためには、点検に使う測定器を適切に選ばなければなりません。
鉄道関連で使える測定器には、数多くのものがありますが、ここでは主な4つの測定機について取り上げ、その特徴や注意点についてご紹介します。
鉄道関連で使える測定器
鉄道の運行は1日たりとも休むことができないため、保守点検は、非破壊検査でなければなりません。非破壊検査とは、測定対象物を破壊したり傷つけたりすることなく検査や測定を行うことです。鉄道関連で使える主な非破壊検査用の4つの測定器について見ていきましょう。

1. ピンホール探知器
ピンホール探知機は、ピンホールなどの塗膜層の非連続部分や表面の傷、突起、異物混入などを、放電の有無によって検知する測定器です。目視では見つけにくい小さなピンホールや異物混入などは、放置しておくとそこからサビなどの腐食が進んでいき、重大な事故につながりかねません。
定期的な保守点検の一環として、ピンホール探知機を使って、ピンホールなどがないかどうかを検査することが重要です。
2. 超音波測定器
超音波測定器は、対象物に超音波を当てて、内部の異状やひび割れの深さ、測定物の厚みなどを測定するために使います。ピンホール探知機が表面の異状を検査するのに対して、超音波測定器は内部の異状を検査する測定器といえます。
外側に変化が認められなくても、内部に異状が発生していないとは限りません。異状を放置しておくと徐々に進行していくため、超音波測定器で、早期かつ確実に探知することが重要です。
なお、コンクリートの橋脚や鉄製のレールなど、対象物の素材に応じた超音波測定器を選ぶようにしてください。

3. 探傷計
探傷計は超音波測定器の一種で、対象物内部の傷やひびの深さを測るものです。傷やひびの深さが測定器画面に表示されるものが多く、目で見て容易に把握することが可能です。
垂直方向に超音波を出力して測定する方法と、いくつかの角度で斜め方向に超音波を出力して測定する方法とがあるので、測定箇所の状態に応じて使い分けましょう。
4. 鉄筋検査機
コンクリート内部の鉄筋の位置やかぶり厚、鉄筋破断などの異状を検査するのが鉄筋検査機です。内部の鉄筋が腐食していたり破断していたりすると、コンクリート構造物の強度が著しく損なわれてしまい、取り返しのつかない事態につながりかねません。
コンクリート表面だけでは判断できないこれらの異状を、鉄筋検査機によってきちんと発見することも大変重要な点検項目です。検査方法には、主に電磁波レーダー(RCレーダー)方式と電磁誘導方式があります。
なお、鉄筋検査機は、鉄筋だけでなく、コンクリート内部のガス管や水道管、電気配線管なども探査できます。
たとえばコンクリート構造物の内部に設置されている電気設備の保守点検などにも、鉄筋検査機が使えます。
測定器の仕様を確認したうえで選ぶことが重要
これまでにご紹介した鉄道関連で使える4つの測定器は、各メーカーからさまざまな製品が提供されています。用途に応じた測定器を選ぶことはもちろん重要ですが、各製品の仕様も細かくチェックすることが欠かせません。
意外と見落とされがちな仕様もあるので、注意しましょう。
確認項目を3つご紹介いたします。
1. 対象物の材質や測定方法を確認する
測定器の多くは、測定できる材質が限定されています。測定したい対象物が、きちんと測定できる材質であるかどうかを確認しましょう。また、測定方法によっては、周囲の環境に影響を及ぼすものもあるかもしれませんので、測定対象物周辺を総合的に見たうえで測定器を選定してください。
2. 測定範囲をカバーしているか確認する
構造物内部の異状を検査する場合、その構造物の厚みをカバーするだけの測定可能範囲を満たした測定器でなければ、正確に検査できません。測定器の測定可能範囲が十分かどうかを確認しましょう。
3. 測定面が適切か確認する
たとえば、広範囲を検査したい場合に、測定面(探触子)が小さい測定器を使うと、時間がかかってしまいます。反対に、測定箇所が狭い場合に、測定面が大きいと正確に測定できません。測定器の測定面が測定箇所に適しているかどうかを確認することも重要です。
数多くの測定器を正しく使って安全な鉄道を
鉄道関連で使える測定器は、今回ご紹介した以外にも数多く存在します。そのなかから適切な測定器を選定するのは、かなり難しいかもしれません。
もし、「どの測定器を使えばよいのか」「この対象物を測定したい場合はどのような仕様の測定器を選べばよいのか」と悩む場合は、測定器メーカーや販売・レンタル業者に確認することをおすすめします。
この記事を参考に、測定器を正しく使って、鉄道を安全に保ってください。









