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アスベスト除去作業の事故対策に役立つ測定器特集

 

アスベスト除去作業の事故対策に役立つ測定器特集


アスベストとは



アスベスト(石綿)は、天然に産出する繊維状の鉱物の総称です。その繊維は非常に細く、肉眼では見えません。かつては「奇跡の鉱物」とも呼ばれ、その優れた特性から、主に建築材料として、また様々な工業製品に利用されてきました。特に日本では、高度経済成長期に大量に輸入・使用されました。

アスベストの最も大きな問題は、その繊維が非常に細かいため、空気中に飛散しやすく、人が吸い込んでしまうと健康被害を引き起こす点です。
吸い込んだアスベスト繊維は肺の奥深くまで到達し、体外に排出されにくいため、肺の中に長期間残存します。これが原因で、様々な疾病を引き起こします。



■アスベスト除去作業の事故対策について



この様に、アスベスト除去作業は、その性質上、作業員や周辺住民の健康に重大な影響を及ぼす可能性があるため、徹底した事故対策が求められています。

主な事故対策を以下にまとめました。


1. 法令遵守と事前準備の徹底

事前調査の義務化:
解体・改修工事を行う前に、必ずアスベストの有無を事前に調査し、その結果を記録・保存・掲示することが義務付けられています。2023年10月1日以降着工の工事からは、一定規模以上の工事で調査結果の労働基準監督署への電子報告も義務化されています。

作業計画の作成と届出:
事前調査の結果に基づき、詳細な作業計画(除去方法、養生、保護具、廃棄物処理、緊急時対応など)を作成し、関係者全員に周知徹底します。レベル1(吹付けアスベスト)の除去など、特定の作業では労働基準監督署への事前の届出が必要です。

有資格者の配置:
・石綿作業主任者:
 アスベスト除去作業の指揮・監督を行う国家資格保持者を現場に必ず配置します。
・石綿取扱作業従事者:
 アスベスト関連作業に従事する全ての作業員は、特別教育を修了している必要があります。
・特定建築物石綿含有建材調査者:
 事前調査を行う者は、この資格を有している必要があります。

2. 作業環境の管理

隔離養生と負圧管理:
作業エリアを完全に密閉し、アスベスト繊維が外部に漏れないようにします。
密閉空間内を外部よりも低い気圧に保つ「負圧隔離養生」を行い、万が一の漏洩時にもアスベストが外に出ないようにします。微差圧計を用いて負圧状態を常に監視します。
負圧集じん機(HEPAフィルター付き)を使用して、密閉空間内の空気を浄化しながら排気します。

湿潤化の徹底:
アスベスト含有建材を除去する際は、散水や薬液散布などで十分に湿潤化し、粉じんの飛散を抑制します。

作業区域の明確化と立入禁止措置:
関係者以外の立ち入りを厳しく制限し、必要な場合は警備員を配置します。

3. 作業員の安全確保

適切な保護具の着用と管理:

呼吸用保護具:
電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR)や、高性能フィルター(RS3またはRL3)付きの全面形または半面形防じんマスクを着用させます。作業環境のレベルに応じて適切なものを選定します。

マスクフィットテスト:
呼吸用保護具が顔に適切にフィットしているかを定期的に確認します。労研式マスクフィッティングテスターなどの測定器を使用し、個人に最適なマスクを選定し、正しい装着方法を指導します。

保護衣:
タイベックなどの使い捨て式保護衣を着用させ、作業後は適切に処理します。

保護手袋、保護メガネ、安全靴:
粉じんの侵入を防ぐ密閉性の高い保護メガネ、耐透過性のある保護手袋、滑りにくく踏み抜き防止機能のある安全靴などを着用させます。

保護具の点検と保守:
使用前に必ず点検し、適切に保守管理します。

エアシャワーの設置:
作業エリアから退場する際には、エアシャワーを浴びて保護衣に付着したアスベストを除去します。

熱中症対策:
密閉空間での保護具着用作業は熱中症のリスクが高いため、水分・塩分補給、こまめな休憩、作業員の体調管理を徹底します。場合によっては、冷却装置の導入や作業時間の短縮・交代制導入も検討します。

4. 作業後の措置

清掃の徹底:
アスベスト除去作業完了後、HEPAフィルター付き掃除機での清掃や湿式清掃を徹底し、作業場内のアスベスト粉じんを完全に除去します。

空気中のアスベスト濃度測定:
除去作業完了後、隔離を解除する前に作業空間内の空気中のアスベスト濃度を測定し、法的な基準値(通常0.01 f/cm3以下)をクリアしていることを確認します。

廃棄物の適正処理:
除去したアスベスト含有廃棄物は、特別管理産業廃棄物として厳重に二重梱包し、定められた方法で運搬・処分します。

5. その他の対策

危険予知活動(KY活動):
作業開始前に、作業員全員でその日の作業内容に潜む危険を予測し、対策を話し合う「危険予知活動」を実施します。

健康管理と特殊健康診断:
アスベスト取扱いに従事する作業員は、雇い入れ時およびその後6ヶ月以内ごとに1回、定期的な特殊健康診断(アスベスト健康診断)を受ける必要があります。

緊急時の対応計画:
アスベストの飛散事故や作業員の体調不良など、緊急事態発生時の対応手順を明確にし、訓練を行います。



■まとめ

これらの対策を総合的に実施することで、アスベスト除去作業における事故のリスクを最小限に抑え、作業員だけでなく周辺住民の安全と健康を守ることが可能になります。



■お勧めの測定器

アスベスト除去作業現場での事故対策に役立つ測定器は「アスベスト測定用位相差・分散顕微鏡 BX51N-DPH」、「マスクフィッティングテスター(労研式) MT-05U (5t0367)」など。



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