ビル管理に使用する測定器

私達が生きていく上で欠かせない空気ですが、空気を目で見て状態を確認することはできません。ビルなどの大きな建物では窓を開けて換気がしにくく、気が付かないうちに空気が汚れてしまうこともあります。したがってビルの管理をする際は、空気の汚れによって利用者に健康被害が出ないように、空気の状態を測定して管理する必要があるのです。
今回は、ビルの管理に欠かせない測定器の種類について解説していきます。

ビル管理に測定器が必要な理由って?

窓を開けて換気がしにくく不特定多数の人間が使用するビルは、空調システムによる空気循環がメインとなります。そのため、万が一空気が汚れたり空調換気設備に不備があったりする場合は、汚れた空気がビル全体を循環することになってしまいます。

空気に一酸化炭素や粉塵が増えてしまった場合、重篤な健康被害が出てしまうことも考えられるでしょう。そのためビル利用者の健康維持のためには、ビル管理の一環として測定器を使った空気の管理が求められるのです。

測定器は日々のビル管理だけではなく、「ビル衛生管理法」に定められた2ヶ月に1回の「空気環境測定」にも役立ちます。

空気環境測定とは

空気環境測定とは、以下の条件に当てはまる「特定建築物」において、2ヶ月に1回指定された項目について測定器で測定する義務のことを指します。[注1]

●興行場、百貨店、集会場、図書館、博物館、美術館、遊技場、店舗、事務所、学校(研修所を含む)、旅館といった特定用途に使用される建築物である
●特定用途に使用される延べ面積が3,000平方メートル以上であること
※専ら学校教育法第1条に定められている学校(小学校、中学校等)は、8,000平方メートル以上

もしもビルの空気環境測定を怠ったり測定結果が基準を満たしていなかったりする場合は、ビルの使用停止措置が命じられることもあるため注意が必要です。

測定器を使った空気環境測定の適正値

ビル管理で空気環境測定する際は、測定器の結果を基準値に保つことが求められます。ここでは、測定項目と項目ごとの基準値についてご紹介します。

●温度:17℃以上28℃以下、外気との差が5~7℃になるよう調整する
●湿度:40%以上70%以下
●二酸化炭素:1,000ppm以下
●一酸化炭素:10ppm以下
●気流:0.5m/s以下
●浮遊粉塵:0.15mg/㎥
●ホルムアルデヒド:0.08ppm以下(新築、大規模修繕時の直近6月1日~9月30日の間に1回実施)

利用者の健康を守るためにも、測定器の数値が基準値からオーバーした際は、対策を講ずる必要があります。

ビル管理に使用する測定器

ビル管理として空気環境測定をするときに使用する測定器には、おもに4つの種類があります。それぞれの役割について、詳しくみていきましょう。

1.室内環境計

室内環境計は、二酸化炭素・一酸化炭素・湿度・温度を同時に図れる測定器です。ただ計測するだけではなく、計測結果から露点や湿球温度、絶対温度や湿度率、換気率を演算してくれる高性能な測定器も存在しています。
ビル管理をするときは、0.5度目盛り以上の性能で温度や湿度を測定できる測定器の使用が義務付けられています。[注2]

2.ホルムアルデヒド計


ホルムアルデヒド計は、シックハウス症候群の要因となるホルムアルデヒドを図る測定器です。ホルムアルデヒドは家具や建築資材、壁紙を貼るときに使用される接着剤などに使用されることが多く、新築の建物の場合は注意が必要な成分です。
ビル管理をするときは、以下の測定器の使用が義務付けられています。[注3]
●2・4―ジニトロフェニルヒドラジン捕集―高速液体クロマトグラフ法により測定する機器
●4―アミノ―3―ヒドラジノ―5―メルカプト―1・2・4―トリアゾール法により測定する機器
●厚生労働大臣が別に指定する測定器

3.粉塵計


粉じん計は、空気中の一定空間容積あたりの粉塵の量を計測する測定器です。散乱光量の強弱に比例する質量濃度を測定する「散乱光式」と、天びんに静電吸着して測定する「ピエゾバランス方式」の2種類の測定方法があります。
ビル管理をするときは、以下の測定器を使用することが義務付けられています。[注4]
●指定のグラスフアイバーろ紙を装着して相対沈降径がおおむね10マイクロメートル以下の浮遊粉じんを重量法により測定する機器
●厚生労働大臣の登録を受けた者により当該機器を標準として較正された機器

4.二酸化炭素計/一酸化炭素計

ビル管理をする際は、二酸化炭素と一酸化炭素の計測もする必要があります。一酸化炭素は中毒症状につながって危険なことは知られていますが、二酸化炭素も濃度が濃くなると頭痛や吐き気を引き起こしてしまうため、注意が必要です。二酸化炭素計と一酸化炭素計を使用して正しい数値を保つようにしましょう。
ビル管理をするときは、検知管式による測定器の使用が義務付けられています。[注5]

【まとめ】測定器を活用したビル管理で利用者に安全を!

窓を開けて換気がしにくいビルは、空気が汚れやすい傾向にあります。空調で空気を循環させているビルの場合は汚れた空気が充満しやすく、あっという間に健康被害が広がってしまうこともあるかもしれません。

ビル管理では定められた空気環境測定を行うのはもちろんのこと、異変を感じたらすぐに測定器を使用できるように準備しておくことも大切です。測定器を活用して、利用者が安心して過ごせるようにビル管理をしてくださいね。

[注1]厚生労働省 建築物衛生のページ
[注2][注3][注4][注5]厚生労働省 建築物環境衛生管理基準について
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